失業保険が28ヶ月もらえるという詐欺は横行している?

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何らかの理由で退職した際に直面するのがお金の問題ですよね。 誰もが考える切実な問題ですが、そんな時に役立つのが失業保険。 正式名称は求職者給付と言い、失業中に積極的に求職活動をする人物が過去半年間の給与平均の5割~8割を受け取れるというもので、 生活保護よりもずっとハードルが低く、ごく一般的に利用される制度です。 本来であれば、退職理由や雇用保険加入期間、受給年齢によって最短3ヶ月~最長9ヶ月となっていますが、 ネットには失業保険を28ヶ月受け取れるという情報が存在しています。 一見すると詐欺としか思えませんが、実態は果たしてどうなのでしょう。

失業保険28ヶ月というキャッチコピーの裏側

1.失業保険

冒頭で触れた、失業保険の受給要件は以下の通りとなっています。

倒産や解雇などの会社都合の場合
派遣契約満了の2C及び2Dの区分もこれにあたります

   被保険者期間
区分
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日 -
30歳以上35歳未満 90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

自己都合退職の場合

   被保険者期間
区分
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢 - 90日 90日 120日 150日

以上が基本的な受給要件となります。
これを見ると、到底28ヶ月(840日)には及びませんね。

確かに延長要件も存在しますが、コロナ特例では約60日分となっており、
出産や育児が対象の延長は万人が受け取れるものではないでしょう。
裏技として教育訓練を受講し、その受講期間分を延長する方法(訓練延長給付)がありますが、一定の失業手当給付期間を残した状態で申請する必要があり、訓練も時期によっては受け付けていない場合、又は短期で終了することも当然あるので不確定要素が強いですね。

従って結論としては、失業保険を確実に28ヶ月受給する方法はありません。

ちなみに訓練延長給付は最長2年間延長が可能なので、運よく長期の訓練や職業訓練校の選考に受かれば実現するかもしれませんが、延長目的だけの人物が真面目に取り組んでいる方々の中で、通学して座学や技能テストを受ける手間を考えるのであれば、
普通に就職した方がよほど効率は良いと言えます。

2.もう一つ失業者が受け取ることの出来る手当 「傷病手当金」

実は28ヶ月の裏側としてはこちらが肝心な要素。
一般的に、失業手当は雇用保険がベースとなりますが、健康保険をベースにした傷病手当金というものも存在し、業務外の病気や怪我で働けない方が対象となっています。
(業務で起こった事案に関しては労災の範囲)

加入している健康保険組合(退職後は任意継続)へ申請を出し、
最長で1年6か月受給することが可能です。
受給金額に関しても、過去の給与や収入を基に算出されるので、生活する最低限の金額は確保できる制度となっており、
事故や事件に巻き込まれて怪我をした方や、パニック障害、うつ等の精神疾患を協会に対して証明する必要があります。
又、失業手当とは同時に受給できないことも注意点であり、重要なポイントでもあります。

3.実際のところ失業手当28ヶ月という表記は正しくない

ネットで謳われている失業手当28ヶ月とは、
失業手当と傷病手当金を組み合わせた合計期間となります。

ここで認識するべき点は、
失業手当を受給している最中、あるいは受給終了のタイミングで怪我や病気を患い、傷病手当を申請するという流れは全くブラックではありません。

むしろ今までに支払っていた雇用保険や健康保険の恩恵を受けることは納めていたものとして当然の権利であるとも言えます。
今現在該当する方は生活に困ってしまう前に、早めに申請した方がいいでしょう。

一方で、再就職する気もないのに失業手当を受給し、実際は健康なのに精神疾患のふりをして医師に診断書や申請書類を書かせて傷病手当金を受給するという方もいますが、
これらは不正受給に該当しますので、おすすめはできません。

加えて、不正受給が発覚した際は罰則や規制自体が厳しくなる可能性もあり、
真面目に活動をして申請をしている方々に多大な迷惑がかかるので控えるようにしましょう。

失業保険28ヶ月を謳った詐欺

結果として、失業手当と傷病手当金を併用すれば28ヶ月の受給は可能でしたが、
以下のような手口で、これらの制度を詐欺に利用する業者が多く存在します。

  • スキルマーケットを利用して、失業手当で得するノウハウ等と誘う
  • ネットの広告を利用する
  • SNSでの投稿やダイレクトメッセージ
  • 動画投稿サイトの広告

これから退職しようとしている方や、少しでも得をしたい方には魅力的な体を装っていることが殆どで、話だけでも聞いてみたいと思わせるように仕向けています。

詐欺業者の手口

今回は悪質なコンサルタント業者が利用する代表的な例をご紹介致します。

広告から問い合わせをしてきた方に対して、
退職前に相談してもらえれば失業手当の金額を増やすことが出来る。と説明

無料お試し期間やキャンセル条項を盛り込んだように見せかけた契約書を提示してコンサルティング契約や入会をさせる

実際には目立たないように、契約者にとって不利な条項を入れており、気が付かずに解約手続きをしないままでいると自動で有料期間に移行してしまう

1件につき20~30万円等の高額なコンサルティング料を請求する。

無料期間のうちに解約すれば問題ない場合もありますが

・無料期間中に電話が繋がらない
・業者の定める方法でしか解約できない
・解約できるタイミング自体が非常に厳しい

こういった手口で解約させないようにしてくるのも注意したいですね。

まず怪しいと思った際は、社労士や弁護士、あるいは警察に相談して絶対的に身を守りましょう。

高額ではなく数万円のコンサルティング料で済む場合

あくまで仮定のお話とさせて頂きますが、
こういった失業手当関連のコンサルティング料が常識の範疇で収まる場合は利用しても問題ないのでしょうか。
結論としては、受給する方の状況によります。

再就職期間をしのぐ為に失業手当が必要で、就職活動も真剣に取り組む方が正当な事由があって傷病手当金を受け取るのは全く問題ありませんが、健康な状態で、且つ業者から不労所得の裏技としてアドバイスを受けた際は実行しない方が無難です。

各給付金の趣旨や対象になっている条件を確認し、不正受給と見なされないようにしましょう。

万が一発覚せずに上手く受給が出来ている場合でも、28ヶ月分の空白期間はその後の転職にプラスとはならず、例えば面接で空白期間の活動を聞かれた際には、誤魔化すための何かしらのウソをつかなければならない可能性が大きいです。

加えて、つい口を滑らせて友人知人に知られることになれば確実に人間としての信用を落とします。

人によってはそのままハローワークや健康保険組合に通報するパターンもありますが、これは何ら悪いことでは無いので、不正受給者は甘んじて受け入れるしかありません。

例えば失業手当に関しては、不正発覚ペナルティとして受給金額の三倍を返還することとなりますので、大変リスクが大きいと言えます。
2年余りを誤魔化しながら、細々と生きるよりも堅実に就業する方が生活や精神の面で余程楽だと言えますね。

横行する詐欺業者

ネット社会の現代では、動画やSNS等を介して勧誘してくる業者が多く見られます。

コロナショックで経済的に不透明感が増している中、そういった広告は非常に魅力的に感じられてしまいますが、一度立ち止まって第三者の意見を聞いてみるようにした方がいいでしょう。

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